2005-01-01から1年間の記事一覧

大脳は寝虎(ねこ)の温度か永遠にさめぬねむりが在るとするなら

ねむれずに白が光を鋭角に弾き目をさす世むかえ走る

湿る皮膚上で琴線掻き鳴りし夜の焦燥藻掻け足掻くな

いとしさとはとどのつまりはあたたかいせつなさかしらと菜刻む音と

軒下で見つけた鼠の頭骨をそつとかへしてはじまる秋は

闇に浮く対向車線残雪と見紛う白い犬の白い死

路地駆けるおまえの裸足掴まえて傾く夜に舐める河豚毒

きみの香の絶え果てしこの八畳間にてもの云わぬ苺をつぶす

蝉コロンの香り携え寝る女を横目に起き出したら夕凪

ママチャリのハヤニエ街路樹に掲げ雪融く朝に腐乱す死美人

半濁音入りの溜息で世界を暖めるおまえを冷やしたい

青空をカルピスに映して飲む子等よ真実は青きシートの下ぞ