腹の子と語らう君の横でへんてこな踊りをおどるという儀式

「ゼリーって牛の関節でできているの」別腹の君は満面の笑みで

きみおらぬことではなくてひとりでもわりとたのしいのがさみしい

電車賃のみ懐に練り歩く繁華街也。是、刹那良し

いつもとおなじいつもがおわってしまったあとにもきみはいうのかいつもとおなじと

このおれと穴に入ろう人生のSWEETも甘いも教えてやるから

その別れいとしきうちにひめゆけるあのいろに染まる春があるから

去るホーム最後尾から闇の奥追ってカーブで消えた昨日は

世に子供こんなにもいたねとおもう年末ゆれる大江戸線で

微睡むは千年旅行のパイオニア目醒めの鐘も尾で撥ね二度寝

このこわれ たこころがなおってしまっても 僕は僕のま までいられるか

手を擦る。そうだよ冬の始まりにはこんな雨が降るんだったと

唇を湿らせるのは星降りの嘘TVの中の懐かしき終末

圧倒的なわからなさを以ちおれの胸つらぬいた穴ポカリで満たし

やさしげな言葉よりまず体力を使いやがれよ愛なのだろうが

きみが見る色は光よ頂点の色の影など無いこの世では

傷つけて傷ついたまま食べている笑えよおれの甘い心臓

これだけでいいのかそこに死なくとも二度と会えない人をつくるには

神の名の意味より出ずる無意味成す人造の光流る窓は闇

時果てしひらけぬ手紙より漏れる塀越しの声殺した3年

いつかかもしれないここにいまが在り 痺れ脳灼き覚悟完了

大脳は寝虎(ねこ)の温度か永遠にさめぬねむりが在るとするなら

ねむれずに白が光を鋭角に弾き目をさす世むかえ走る

湿る皮膚上で琴線掻き鳴りし夜の焦燥藻掻け足掻くな

いとしさとはとどのつまりはあたたかいせつなさかしらと菜刻む音と

軒下で見つけた鼠の頭骨をそつとかへしてはじまる秋は

闇に浮く対向車線残雪と見紛う白い犬の白い死

路地駆けるおまえの裸足掴まえて傾く夜に舐める河豚毒

きみの香の絶え果てしこの八畳間にてもの云わぬ苺をつぶす

蝉コロンの香り携え寝る女を横目に起き出したら夕凪